現在、家庭菜園などのブームから野菜作りへの興味・関心が高まっています。また、都会での長期労働から解放され、自然豊かな田舎暮らしに憧れを持つ人も多いと思います。最近では補助金制度の充実もあり、地方で新しく農業を始めたいという人が増えています。では実際に新たに農業をするには、何から始めていけば良いのでしょうか。まず始めに、「どの地域で、何を作るのか」を明確にすることです。そのためには、実際にものを作る研修、体験を通して、自分には何が向いているのか判断し、経験とスキルを習得しなければなりません。また、同時に徹底した情報収集を行う必要があるでしょう。土地や作る物への知識だけでなく、補助金制度もよく調べて活用した方が良いでしょう。実際に新規就農した先輩方に話を聞いて、参考にしてみましょう。
北海道への新規就農した家族をご紹介
ここではサラリーマンを辞めて、東京から北海道へ引っ越してきて3年のKさん家族に話を聞いてみたいと思います。Kさんはご夫婦とお子さん3人の5人家族です。ご主人の子供の頃からの夢で、北海道へ引っ越され、主にトマトを中心に野菜作りをしているそうです。きっかけは、東京で見たこの地区の自治体が新規就農を案内するポスターだったそうです。その自治体の窓口に何度も相談し、たまたま離農する予定だった高齢のご夫婦を紹介され、その方から土地や機械を安く手に入れることが出来たそうです。また、そのご夫婦から様々なノウハウを教えてもらい、今は収入も安定し、更なる事業拡大に向けて準備を始めているそうです。このように、スタートから上手くいっている例は少ないと思われます。思うように作物が育たず、収穫が出来ないため、計画していた収入が入らないといった場合が多いでしょう。上手くいっているように見えるKさんですが、実際にはどうだったのか、さらにお話を聞いてみましょう。
現実とこれからの課題を考えよう
一番大変だったのが、体力面だと言います。全てが新しい事で、思うように作業が進まず、全く休みが取れなかったと言います。また、子供たちの学校までスクールバスでも30分の所で、近くに買い物出来るお店も少なく、移動時間に思わぬ時間を取られたそうです。それでも近くにアドバイスしてくれる先輩がいて、その方が他の近所の方々との間に入って紹介してくれたことで、すぐに地域に馴染めたそうで、お野菜などはご近所さんで交換し合っているそうです。最初の頃は、子供たちにかまってあげる時間もなかったけれど、今では一緒に農作業を手伝ってくれるようになり、大自然の中でのびのびと育つ子供たちを見ることかでき、毎日が充実していて、とても楽しいと語ってくれました。始めは何もかもが大変でしょう。しかし、そこを支えてくれるのは、相談できる窓口だったり、アドバイスをしてくれる先輩だったり、地域全体で受け入れてくれるご近所の方々だったりと、やはり「人」との縁、出会いであると感じました。新たに農業を始めようという方々に、素敵な縁と出会いがあると良いですね。