経験者に聞く新規就農をやって良かったこと

以前は、日本の農業は衰退していき、日本の食糧自給率は下がる一方だということで、多くの懸念がありました。現在でも農業を営む人たちは、高齢者が多いことに変わりなく、また放棄された農地や休耕している農地もたくさんありますが、少しずつ若い世代に新規就農の動きも見られています。近年の日本では、働き方に疑問を感じて、都会で就職をしてずっと働いていくことをやめ、自分らしく生きていきたいと願う人々も増えてきました。それは、働き方の問題だけではなく、人間の本来の豊かさを求めて、生活のあり方を変えていこうとする人々が増えてきた証拠です。物質的に豊かになった日本が、現在では精神的な豊かさに必要性を見いだし初めているのです。そんな人たちが、新たに農業をはじめています。

お金に縛られた生き方を捨てた人たち

科学や技術が発達した日本では、どんどん新しい商品が生まれては消えていきます。そのスピードは、年々加速の一途を辿っているのです。それらは私たち人間の生活をより便利にしてくれるため、とてもありがたい存在です。しかし、その全体を俯瞰して見渡してみると、そこにはさまざまな歪みが存在しています。一番言えることは、物質的な豊かさに翻弄されて、人間らしい精神的な豊かさが失われていき、とても窮屈な生き方をしているということです。このことは、特に都会で暮らす人々に言えることです。そのことに疑問を感じて、そのループから抜け出し、自然と共に生きる道を選択した人たちが、新規就農をしています。都会の暮らしと比べて不便な部分はあるかもしれませんが、人間らしさを享受して生活しているのです。

農業と共に生きる人間らしい生活とは

農業を仕事としてやっていくと、人間は本当に自然と共に生きている存在だということに気がつきます。都会でサラリーマンをしていると、勤務時間は会社の規定によって縛られますが、農業の場合は、季節や天気など自然界の環境によって、働く時間帯が決められていきます。そして、野菜や果物など、どうしたら美味しく育つのか、知識を蓄えて、それを知恵として昇華していき、繋げていくのです。すべてがアスファルトやコンクリートに固められた世界ではなく、土や空気、気温や生き物など、自然が与えてくれて、自然が生きる道を切り開いていきます。そのような中では、子供たちも五感が研ぎ澄まされ、感性が豊かで健康的に育っていくのです。そして、自然界に存在する癒しの恩恵を受けながら、人との繋がりも大切に、暮らしていくことができます。